「後味の悪い状態で長崎に戻ってきた私は、とにかく働こう!と、職安(現・ハローワーク)に毎日のように通いました」。
ところが、待っていたのは過酷な現実。
「私は普通高校を出て、看護学校は中退でしょ?特に資格も持っていない上に経験もありませんから、すべて履歴書の時点ではねられるんですよ。数えきれないほど履歴書の段階で落とされて、それでも諦めずに職安に通っていたら、見かねた職安の方が、ある会社の面接があることを教えてくれて。連絡したら、すでに定員に達していて面接も受けさせてもらえないような状況だったんです。私も必死ですから、先方の担当者に食い下がって「とにかく今から行くので面接だけでも受けさせてください!」って(笑)。そしたらですね、受かったんですよ。後で聞いた話ですが、採用する人はほぼ決まっていたそうなんですが、私の熱意に負けたって。それで、ようやく長崎で初めての就職が叶ったんです」。
念願の就職が決まったものの、時を経るうちに人間関係で悩むように。
「職場の女性の先輩と上手くいかなくて、辞めることになったんです」。
次に就職した会社でも、やはり人間関係が原因で退職を決意した末美さん。
「自分が会社で上手くいかないのは、会社が悪い、環境が悪い、周囲が悪い、と当時の私は考えていたんですよね。自分に合わない人が現れるたびに、「この人がいなければ上手くいくのに…」と。それで会社を変わるのですが、それでもやっぱり上手くいかない。ということは、自分にも問題がある、と今なら分かるんですが、その頃は気づいていなかった。21歳から26歳の間に、私、7回転職してるんです(苦笑)。事務職、営業職、エステティシャン、なんでもやりましたが、辞める理由はだいたい同じ。職場の人間関係に悩まされて、揉めて、居づらくなって…というパターン。合わない相手が現れて、人間関係が崩れて行くんです」。
とは言え、就職するたびに全力で取り組むという姿勢は変わらず、それぞれの場所、場面を駆け抜けていた末美さん。7度目の転職で就職した会社は、まさに背水の陣。
「26歳の時に就職したIT関係の会社では、もう後はない!絶対辞めるまい!と誓いました。それまでは女性がある程度多い職場で、どうしても私の一生懸命さが疎まれがちだったんですが、最後の会社は女性が私一人。男兄弟の中で育ったこともあり、気が許せたんでしょうね、13年続きました(笑)」。
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