女性のチカラが、これからの時代をつくるキーワード!! ようこそ  ゲスト さん    |   ログインはこちら    |   会員登録    |

 「ホテルニュー長崎の若き女性シェフが、第22回トック・ドール料理コンテスト全国大会で優勝!」。今年2月に飛び込んで来た大ニュースでした。「トック・ドール(金の帽子)料理コンテスト」とは、日本のプロ料理人にとって最も権威ある料理コンテストであり、全国の超一流ホテルなどを代表する一流のシェフが腕を競うものです。年齢制限が23歳以下ということもあり、将来を担う若手料理人にとってはまさに登竜門とも言える称号を、長崎の、しかも弱冠22歳の女性シェフが獲得したのですから、大騒ぎは当たり前!ある意味、男社会の料理界の中で全国1位を獲得したほどの女性なら、きっと逞しく凛々しい人に違いない!と、勝手に想像していたママモニスタッフだったのですが…。休日返上で取材に応じてくれた長崎料理界期待のホープ・末永佳珠美さんは、小柄で色白でクシャっとした笑顔がなんとも言えず愛らしい女性…というよりも「女の子」という表現の方がピタリとくる初々しい方でした。身長155cmという小さな体ながら、話せば話すほど内側にほとばしる熱いエネルギーの塊が溢れ出ているかのような末永さん。彼女がこの偉大なる快挙を達成するまでの日々のことと、これからの夢を語っていただきました!

 高校進学を前にして、さまざまな選択肢から「料理」という道を選んだ末永さん。

 「中学生の頃は、保育士になりたかったんですけど(笑)。ピアノが弾けなくて、断念しました。料理が趣味というわけではなかったのですが、食べるのが好きだったし、子どもの頃は従姉妹とお菓子を作ったりしていたので、興味がないわけではなかったんです。それで、いろいろ考えた末に、調理科がある大村の向陽高校に進学することにしたんです」。

 自宅から毎日1時間、JR列車に揺られての通学。高校3年間で学んだことは、とても大きなものだったようです。

 「1年生の時は和食を、2年生では西洋料理、3年生では中華と給食などの大量調理を学びました。その中で、2年生時の西洋料理がとにかく楽しくて。お菓子まで作られるというのも嬉しかったですね。それで、将来的には西洋料理を目指そうと決めていました。ただ、その時点ではホテルがいいのか、個人のレストランがいいのか…具体的には決めかねていて。最終的に、ホテルに就職したいと思ったのは、「ホテルなら、休めないほど忙しいだろう」と思ったからなんです(笑)。私、忙しいのが好きで、あの頃は、休みなんて要らない!と思っていました。今となっては、休みがすごく欲しいです!(笑)」。

 なんというモチベーション!働くことが好き、忙しいことが苦にならないなんて、今どきの女の子にしてはあり得ないようなパワーです。そのパワーの源は、小学生の頃から続けていたバレーボールにあるとか。

 「働き出してから、バレーをやっていて本当によかった!と思いますね。あの頃、身についた根性と体力が今、とても役に立ってますから(笑)」。

 小柄な体格ながら、レシーブを得意とする末永さんはリベロとして大活躍。拾って拾って拾いまくる!という、リベロのポジションで鍛えられた末永さんの根性は、自身でも認めるほどの筋金入り。今回の全国1位は、「休みを返上してでも、納得いく仕事を!」という、末永さんだからこその快進撃だったのかもしれません。

 「高校では、プロの料理人の方が教えに来てくださったのですが、それもすごく刺激になりました。ホテルニュー長崎の川端総料理長も、私の後輩たちに教えてくれていたんです。私は直接指導を受けてはいないのですが、休み時間に川端総料理長の授業を見に行ったり(笑)、その頃から交流はありました」。

 未来の上司となる川端総料理長との出逢いも、高校時代に果たしていたわけですから、末永さんとホテルニュー長崎、川端総料理長の縁はとても深いものなのかもしれません。

 全国1位に輝くまでにも、末永さんは数々の賞を受賞しています。新人としては異例とも言っていいほどの華やかな受賞歴を、少々ご紹介いたしましょう。

  • 平成20年2月22日 技能五輪長崎県予選大会出場 第3位
  • 平成21年2月19日 技能五輪長崎県予選大会出場(2回目) 第1位
  • 平成21年7月29日 トック・ドール九州大会出場 優勝
  • 平成21年10月23日 第47回技能五輪全国大会出場 金賞
  • 平成22年2月21日〜23日 第21回トック・ドール料理コンテスト全国大会 総合3位

 入社1年目で出場した技能五輪の県予選で3位デビュー!早速、その才能の片鱗を見せた末永さん。その当時を末永さんはこう振り返ります。

 「入社したばかりの頃は、言われたことをするだけなんですよね。先輩たちの指示で動くのが精一杯ではあったのですが、それがだんだんと物足りなくなって。そんな時に、コンテストへの出場をすすめられて、俄然やる気になっていました。でも、実際は、本当に大変で(苦笑)。課題が出されてからメニューを考えるのですが、なかなか総料理長のOKが出ない。何度も何度もレシピを練り直して試作して、ようやくOKが出たら、今度は時間内に作る練習を重ねます。勤務時間にはもちろんできないので、仕事が終わった後や休日などに練習することになるんです。それでも、ホテルが食材や場所を提供してくれたり、上司や先輩たちが技術面を指導してくれたり、全社を挙げて様々なバックアップをしてくれるので、私は本当に恵まれていると思います」。

 長崎の中でも、一流の誉れ高いホテルが若手料理人の育成に力を注ぐのは、それが即ちホテルの、長崎の財産となるからに違いありません。地元の食材を生かした美味しい料理、美しい料理を広く提供するというホテルとしての誇りのためにも、才能ある若手をさらに育てる必要があるのかもしれません。その中で、努力の末に結果を出してきた末永さんは、まさに金の卵とも言える人財なのです。

 今回、「トック・ドール料理コンテスト全国1位」の栄冠に輝いた末永さんですが、実は一度は出場を断念していたそう。

 「前年度のトック・ドールで3位に終わって、いろいろと思うところがありまして。私の夢はテレビに出ることだったんですけど(笑)、それも叶い、インタビューとかも数多く受けて、他に何かできることはないかなぁと考えていたんです。でも、それ以上に練習の日々の大変さを思い出すと、なかなか踏ん切りがつかなくて…。川端総料理長に泣きながら、「今度は出ません!」と言ってしまいました(苦笑)」。

 一度は断念したコンテスト出場でしたが、あることをきっかけに、末永さんの闘志に火がつきます。

 「2つ上の先輩、石橋和徳シェフが、技能五輪の世界大会で優勝したんです!それを見て、私も優勝したい!負けたくない!と。申し込み前日というギリギリのタイミングに、「やっぱり出ます!」と川端総料理長にお願いしました。総料理長は、私の決断を喜んでくれていたと思います」。

 締め切りギリギリの決断。身近な人が栄光に輝く瞬間を目の当たりにして、自らもその高みを目指したい!と思うところが、末永さんの最大の長所であり、強さの根源に違いありません。
 再び、レシピの考案と練習に励む日々をスタートさせた末永さんを支えたのは、川端総料理長を始めとするホテルニュー長崎の全スタッフでした。

 新人の頃とは異なり、末永さんに対する期待や責任は大きく、重たくなっていました。後輩もでき、指導する側に回ることも。そんな中でのコンテストの準備は、想像以上に過酷。それでも、多くの人の支えと応援に報いたいという思いで、末永さんは練習を重ねていきました。
 「トック・ドール料理コンテスト」は、冷製料理・温製料理・デザートの3品を4人前ずつ、制限時間6時間10分の内に作り上げなくてはなりません。味覚・視覚・新発想・プロとしての調理などを、世界72ヶ国共通の国際審査基準に基いて審査されるものです。

 「何度も練習を繰り返し、挑んだ当日。大会前の2日間は、ホテルのはからいで休みをいただいて、じっくり準備と精神的なケアをすることができました。川端総料理長からは、「努力は必ず報われる」と励ましていただいて、心強かったです。本当にたくさんの方に助けてもらい、みんなのお陰で出ることができた大会だと思っていました。ところがですね…最後、時間をオーバーしてしまったんです。その瞬間、もうダメだと思いましたね」。

 制限時間をオーバーすると、減点の対象となってしまいます。冷製料理は「豆腐とガルバンゾーのガトーオリエンタル風と野菜のレクタングル」、温製料理には「牛バラ肉のプレゼ赤ワイン風味」を、デザートは「ショコラムースとりんごのカラメリーゼ」を作った末永さん。時間こそオーバーしましたが、味、ビジュアルには手ごたえを感じていました。そして…ついに、審査結果の発表!

 「3位、2位で自分の名前が呼ばれなかったので、あぁ…ダメだったと諦めていました(笑)」

 という末永さんですが、最後、優勝者として高らかに自身の名前を呼ばれた瞬間、溢れる涙を止めることができなかったそう。

 「もう、ブワーーっと涙が出て、号泣してしまいました。嬉しくて嬉しくて。表彰してくださった審査委員の方も、一緒に泣いてくださって。本当に最高の瞬間でしたね」。

 これまでの努力努力の日々、たくさんの仲間たち、いろんな思いがこみ上げて、爆発したのでしょう。多くの祝福に包まれ、末永さんは自らの手で日本一の称号と、カナダへの研修旅行を獲得したのでした。

 歓喜冷めやらぬ中、長崎へ帰ってきた末永さんを待っていたのは、さらに多忙な毎日でした。
 「日本一の料理」を食べたい!というお客様のために、「全国大会総合優勝記念コース」なるものが特別に用意され、お客様に振る舞われました。大好評を博したコースは、本来の提供期間を大きくオーバーするほどの人気を集めたのです。さらには、川端総料理長との共同で「世界にたったひとつの婚礼料理」を考案。末永さんと川端総料理長が、新郎新婦のためにオリジナルでプロデュースするウエディングメニューも、大評判となりました(2011年7月中成約の先着10組)。

 「次は30歳以下の料理人を対象としたコンテストに出場したいと思います。今回、優勝したことでお客様に私の料理を召し上がっていただき、直接「おいしかったよ」など声を聞くことができました。それがとても嬉しかったです。そういった機会がまた得られるように、頑張っていきたいと思います」。

 さらに、入社5年を迎え、後輩ができた末永さん。助けてもらう、支えてもらう立場から、助ける、支える先輩の立場に変わってきているのです。

 「後輩を見ていると、「もっとこうしてほしい!こうしたらいいのに!」と思うことが多くて。そういったことを、ちゃんと伝えて行けるようになりたいです。これまでたくさん支えていただいたので、少しでも恩返しができればと思います」。

【編集後記】

 自分自身へ常にハードルを設定し、それをクリアすることで着実に大きく羽ばたいてきた末永さん。ひたむき料理にうち込む彼女を、周囲の人は温かく見守り、時に厳しく、時に親や兄弟のように優しく導いてくれているようです。愛情や援助をもらうだけではなく、それに報いようとする末永さんだからこそ、誰からも愛され栄光への階段を駆け上がることができたのでしょう。これからも女性らしい柔軟性と、若々しく瑞々しい感性を発揮した、末永さんらしい料理で数多くの栄冠を手にしていくに違いありません。それが、新しい長崎の「味」として広く認められる日もそう遠くはないでしょう。

2011年08月16日:ママ記者M
 
長崎県内で活躍中の女性たちや、長崎出身の県外で頑張る女性たちを、ママモニからピックアップして、インタビュー取材を行います。
「自分らしく、人生を楽しんでいるひと」「夢に向かって、頑張っているひと」「大切なことに熱中しているひと」様々なインタビューを通して、ユーザーの皆さんの自分流の楽しみ方や、何かのヒントが見つかるかも?! 刺激的で元気が湧いてくる記事をアップしていく予定です!
もしかすると…つぎは貴方が旬なひと?!