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 3月11日の東日本大震災。激しい震災の爪痕から復興しようとする被災地を、「歌」「音楽」の力で励まそうとするミュージシャンたちの活動は、被災者だけでなく日本を、世界を明るく照らす道しるべともなっています。

 「歌」「音楽」が持つ、大きな力に改めて気づかされる中、長崎を拠点に活動するシンガーソングライター・果里さんの歌声もまた多くの人に希望の光を灯しています。聴く者の心へとダイレクトに注ぎ込まれる魂のこもった歌声は、暗闇を優しく照らす月明かりのように、私たちを包み込むのです。

 長崎という故郷への想いが込められた歌、悲しい戦争の歴史を繰り返さないようにと綴られた祈りの歌、明日へ向かう勇気を与えてくれる歌……果里さんの「歌=詞」がどのように生まれてきたのか、果里さんが「歌」に託す想いも含めて、お聞きしました。

 果里さんと接していると「歌を歌うために生まれてきた」という、使命にも似たものを感じるのですが、歌との出逢いはどんなものだったのでしょう。

 「今からどれくらい前になるんでしょう……。特にこれ!といったきっかけや、劇的な出来事があったわけではなく、気がついたら歌っていた…という感じです。ただ今でも、私が「歌う」とか、「何かを伝える」ということは、とんでもない!とは思っていて(笑)。それでも続けている理由は、「言葉」なんですね。伝えたい「言葉」があるから、歌っていたいですし、一人でも私の曲を聴いてくださる人がいて、伝えたい人がいる限り、歌い続けていたいんです」。

 果里さんにとって「歌を歌う」ということは、「伝えたいことを言葉にして伝える」最大の手段。作詞、作曲を手がける果里さんの、創作の源になっているのは胸の中に湧き上がる「伝えたい想い」なのです。「もし何かがあって歌えなくなったとしても、伝えたい言葉がある限り、詞を書き続けるだろうな、と思うんです」。

 東京で大手音楽事務所に所属するなど、音楽活動を続けていた果里さんですが、31歳の時に転機が訪れます。「事務所を辞めて31歳になった時に、その時の私って楽器も何もできなくて。1人で音楽をやり続けるためには…ということでギターを始めたんです」。31歳からのリスタート。ここが、今の果里さんの原点なのかもしれません。

 「そうですね。事務所に所属していた時も、お仕事で作詞をさせてもらったりしていたんですが、その当時の詞はとてもとても「嘘の詞」で(笑)。」

 仕事で人の楽曲に詞を付ける…というよりは、自分自身で感じたもの、伝えたい想い、言葉を紡いで詞を作り、その想いをより広く深く人に届けるために「曲」をつける……果里さんの今のスタイルの出発点は、31歳というタイミングだったのです。

 果里さんの歌声を、ぜひ聴いてみてほしいと思います。「言葉」が「曲」に乗って、果里さんの「声」を通して発せられた時、よぎるのは「言霊」という言葉。魂の宿った言葉は心の奥深いところにまで届くのです。

 「♪忘れないで 今ここに 何故 僕らが 幸せに 暮らせている事を
 忘れないで 持ちたくもない重たい銃を 背負い 戦った人達を」。 

重たい銃』より

 この『重たい銃』は、果里さんらしく平和を祈る1曲。

 「この曲は私の母の幼い頃の体験を元に書きました。昔から母に幾度となく聞かされていた母の実兄が戦死した話。私の中で、遠い過去のような感じがしてどこか他人事でした。今年の2月、母はいつものように語りはじめました。母にしてみれば、お兄さんに可愛がってもらった幼少の時でお兄さんとの思い出は止まっていて、まるで昨日のことのように鮮明な記憶なんですね。今更ですが、「戦った人々がいたからこそ、今私たちが幸せに暮らせている」という事を忘れてはいけないな、戦争を知らない私達世代に伝えなければと思い、書いた作品なんです」。

 「私ね。戦争映画なら、そこから何かに気づくことが出来たり、歴史を学ぶことができるかもしれないけれど、人を殺すようなゲームとかは、大嫌いなんです。そうしたものを多くの人が目にして、知らないうちにイメージの中に蓄積されていくと、それが現実になってしまうような気がして…。良くも悪くも、未来は私たちが思い描く通りになっていくと思うから、できるだけ良いイメージ、明るいビジョンを抱かせるものを目や耳にしてほしいと思うんですね。だから私自身、明日を信じられるような、今がどんなに辛くても、いつか上を向いて行けるようなそんなイメージを発信していきたいと思っています」。

 「♪未来は全て あなたが描く 心の中次第
 不安なんか 掻き消して自分をまず 愛そう」  

祈る』より

 このフレーズは『祈る』という曲に込められた果里さんからのメッセージ。果里さんの歌づくり、曲づくりにかけるコアな部分を表現している代表作です。果里さんの言葉には、ひとつひとつに重みがあって、どれもがなるほどと感じるものばかりです。

 現在、ボイストレーナーとしての顔も持つ果里さん。教室には多くの生徒さんが通い、「発声」や「歌う」ことを通して、新しい自分、新しいステージへと挑戦をしているそうです。

 「ボイトレを始めて、今10年目なんですが、年齢、性別を問わず、いろんな生徒さんが通われています。
 声を出すのって、樹木に似ているとよく話しています。まず、しっかりした芯のある樹木があってこそ、枝葉は柔軟に風にそよぐことができますよね。樹木の芯に声を集めるというのかな?実は、声の出し方さえわかれば、皆さんできるようになるんです。もちろん人によっても、個人差はあるんですが、声の出し方ひとつで、仕事がとれるようになったという嬉しいお話もいただいているんですよ。それに、生徒さんと関わる中で、私が教わることも多いんです。ある生徒さんは、とても大きな夢を抱いていました。その夢は本当に素晴らしいものでしたが、正直大きすぎて「叶えるのは難しいかも…?」と半信半疑でした。でも、私は心のどこかで「最後は何が起こるか分からない」と応援してきたんです。するとですね……その生徒さんは、努力に努力を重ねて、見事に夢を叶えてしまったんです!私は、こういう仕事をしていて何なんですが(笑)、自分に“才能”はない、と思っているんです。何をするにしても「才能」があるに越したことはないけれど、たとえ「才能」と呼ばれるものがないとしても、続けていくことで「最後には何が起こるかわからない」んですよね。「継続は力なり」。諦めないこと、努力することの素晴らしさに、改めて気づかせてもらった瞬間でしたね」。

 人は時に「才能」という言葉に逃げることがあります。「才能がないから、これ以上進めない」「才能がないから、諦める」というように。けれど、「努力」が「才能」を凌駕することはままあることです。さらに、地中の深いところに埋もれた「才能」という種は、「努力」という名の水を与えない限り、芽吹くことはないのかもしれません。果里さんの「最後には何が起こるかわからない」という言葉は、逃げることなく立ち向かってきた果里さんだからこそ力強く響くのです。

 「歌」を3つに分けるとするなら、「曲」「詞」「歌声」ということになるのかもしれません。この3つを一手に担い「伝える」ことへ全身全霊を傾けて来た果里さん。「自分の言葉」「自分の曲」「自分の歌声」にこだわってきた彼女でしたが、ある出逢いが素晴らしい転換点となりました。

 「長崎在住のジャズピアニスト、小國雅香さん。以前から素晴らしいミュージシャンということで存じ上げていましたが、お会いする機会がなかったのです。ところが、今年5月NCC&スタジオで小國さんを中心に行われた「東日本大震災チャリティイベント」でご一緒させていただき初めて曲に触れ、「慈」(いつくしみ)という曲のイントロを聴いた瞬間、曲から言葉を感じました。演奏が終わったと同時に走って楽屋に入り小國さんに「詞を書かせてください!」とお伝えしました。
 翌日すぐにメールで音源を送っていただき、やはり聴いた瞬間、ポロポロ言葉が溢れ出てきました。そこから小國さんの曲に歌詞をつけるというスタイルのコラボレーションが始まりました。10月に発表された小國さんとのコラボソング『For Tomorrow』は、被災地、日本、そして長崎のみなさんに届けたい「希望、祈り」が込められています」。

 この曲は、これまでの果里さんの歌とはまた違う味わいのアップテンポなもの。「明日」という新しい世界へ、臆することなく進んで行く勇気を与えてくれるような、背中を押すような力強い曲なのです。

 「『For Tomorrow』の歌詞にも関連しますが、女性の方だけでなく、みなさんにお伝えしたいのは、明日も未来も自分で描く色で迎えるために「今日の自分を好きでいよう!」ということでしょうか。嫌いな自分の連続で、突然良い未来が訪れるわけではありませんよね。今日の自分が好きでいられますように」。

 「♪想い次第で今日が変わる 目覚める明日を築く
  未来じゃなく今から 一歩踏み出そう」

 『For Tomorrow』より

【編集後記】
言葉に乗せた果里さんの想いは、音の波とともに多くの人を力づけ、笑顔へと導きます。魂を込めて歌うその声、その姿に胸を打たれる方も多いはずです。呼吸するように自然に歌い続け、いつの間にか歌を生業としてきた果里さん。「伝えたいことがある限り、歌い続けたい」。果里さんの想いの籠った歌声は、これからも私たちの明日を照らしてくれることでしょう。

2011年10月26日:ママ記者M
 
長崎県内で活躍中の女性たちや、長崎出身の県外で頑張る女性たちを、ママモニからピックアップして、インタビュー取材を行います。
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