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きっかけは、ある日の夕方のニュース番組でした。

nccの「スーパーJチャンネル」で、長崎の特産品である「びわ」を使った「長崎ゆめびわ茶」の特集が放送されていたのです。

鮮やかな夕陽を思わせる色味の「びわ茶」は、美味しさ、芳しさはもちろん、健康的な効果にも注目が集まる長崎の新名物。中でも長崎市宮崎町の「身体障害者通所授産施設 三和ゆめランド」さんが製造・販売している「長崎ゆめびわ茶」は、地元で無農薬栽培されたびわの葉を使用し、丁寧な手作業を経て製品化されるため文句なしに高品質!
徹底したこだわりを支えるのは、身体に障害のあるメンバーの方たちの仕事にかける情熱と、彼らと同じ方向を見つめサポートする施設スタッフの方たちの「仲間」としての絆でした。

nccの特集に感銘を受けたママモ二スタッフは、これからの社会で重要な役割を担う「福祉」という分野の、進化系モデルケースとなりうる「三和ゆめランド」さんの取り組みを追っかけ取材。

美味しさと高品質の秘密、その先にある福祉の未来図を理事長の池田賢一さんにお伺いしてきました! 


「長崎ゆめびわ茶」が作られている「三和ゆめランド」とは、どんなところ?

長崎市宮崎町。「三和町」と言ったほうがピンとくるかもしれません。川原大池にもほど近い、きらめくような緑の木立を抜けたところに「三和ゆめランド」はあります。目の前には芝生の公園が広がり、環境抜群。平成14年に開所した2階建ての施設内には、衛生的で明るい作業場と、調理スタッフの軽やかな包丁の音が響く食堂、大きな窓に面した会議室などが完備されています。
また施設から車で3分ほどの広大な山を切り開いて耕地した1万5000坪の農園では、無農薬・有機栽培をテーマにびわの木600本・イチジクの木50本・ざくろ50本、他にもショウガ、サツマイモ、月桃など、四季折々さまざまな作物を栽培しているそうです。この農園で育てられた作物は、びわ茶はもちろん、ジャムなどにも加工し販売されています。

「身体障害者通所授産施設」とは、身体に障害を持つために雇用されることが困難な方たちに、ひとりひとりに合った職業訓練を行いながら社会的自立を支援する福祉的就労の場。ここでは、18才〜67才の35名の障害を持つメンバーさんが通ってきています。ここで行われる作業は、単なる作業に終わらない「物づくり」なのです。こちらを立ち上げた池田理事長は言います。
「私たちは価値あるものを生産し利益をあげ、雇用を創出していくことを目指しています。たとえば「長崎ゆめびわ茶」の知名度がどんどん高まり、全国からの注文が殺到するようになれば、障害がある人・ない人に関わらず「働く場」が大きくなっていく。そうすればここに通う人が自立し生活することが可能になりますよね。身体に障害がある人の家族にとって切実な問題は、いずれ自分たちが先立った時に残された彼らがきちんと生活していけるのか、ということ。ですから私の最終的な目標は、障害のある人たちとその家族の終の棲家を創ることなんです」。

「三和ゆめランド」を創ったひとはどんな人?

理事長 池田賢一さんは、すべての人がハッピーに助け合いながら暮らすための町づくり、社会づくりを模索する頼もしきリーダーです。池田理事長には「福祉」の現場に立つ姿と、「一級建築士」として活躍するもう一つの顔があります。建築業界の権威ある賞を受賞するなど、建築家として第一線にいる池田理事長が「福祉」という畑違いの分野に進んだのはなぜなのでしょう。

障害者が自立できる環境を
「今のように“バリアフリー”という言葉が知られるずっと前から、障害を持った人のための住宅や施設などを設計していたんです。そうした仕事に取組む中で、障害を持った人たちの立場が一般社会からどうしても離れていることがジレンマでした。国の政策も補助金を出すだけ、授産施設にしても封筒貼りだとか企業の下請け・孫受けのような仕事が多く「障害者の自立」にはほど遠い。
そうした状況を目にする中、仕事を通じ知りあった車いすデザイナーの光野有次さん(諫早在住・ (株)無限工房 取締役会長)に影響を受け、「少しでも社会に役立ちたい」という想いから福祉の世界に飛び込みました。いやぁ、一度飛び込んだら最後、抜け出せなくなりましたね(笑)。私も60歳を超えて悠々自適な生活を送りたいと思ったりもするんですが、次から次へとやりたいことが浮かんできて。
この施設も最初は長崎市内(当時、この一帯は西彼杵郡三和町でした)の便利が良い場所に創ろうと思っていたんですよ。でも、長崎市内には他の事業者がいたもので、三和町あたりに創ってほしいという行政からの要望がありました。ちょうど知人が現在の施設がある土地を所有していたこともあって、この場所に決めたんです。
この土地に創るにあたって「お、ここにはびわ農家がたくさんあるな、このびわを使って何かできないかな」と、まず考えました。びわの葉は近所の農家からたくさんいただくことが出来る、そうだ「びわ茶」を作ろう!と。
では、これを売るためにはどうするか?「障害者が作りました」と言って宣伝したら、同情から人は1度は買ってくれるかもしれません。でも、美味しくなかったら、リピーターにはなりませんよね。だから、授産施設として物づくりをする上で常に考えているのは、「良い物、売れる物をつくり、ビジネスとして成り立つようにすること」なんです。
メンバーさんにはそれぞれにあった仕事をしてもらい、それで生活できるほどの収入を得てほしい。だから「びわ茶」がもっともっと売れるようにしないといけないんです(笑)」。  

福祉とビジネス、一見対極にあるようにも思える2つを結びつけることで、雇用の創出、障害者の自立が実現します。池田理事長の構想は、「今」だけに終わらない長期的なものなのです。

一級建築士ならではの池田理事長が設計した、身体に障害を持つメンバーさんたちに優しい安心設計の施設と設備!

施設の随所には、それぞれ使う人を思いやる工夫が、施されていました。身体に優しい珪藻土の壁や、車いすでも十分に通ることができる入口と廊下スペース、高さの違う洗面台や、トイレなど、働きやすい環境が整っていました。

池田理事長考案のユニバーサルトイレ。

広々としたトイレは、車椅子で入れることはもちろん、便器の横にゆったりとしたスペースを取ることで、スムーズに着衣の着脱などができるようつくられています。




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「長崎ゆめびわ茶」が作られている「三和ゆめランド」とは、どんなところ? ( 1 / 5 頁 )

 

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